インディアンとは
Posted on March 8th, 2010 by Author
インディアン (Indian) は、アメリカ先住民の大半を占める主要グループの一般的な呼称。スペイン語・ポルトガル語ではインディオ (Indio)。多くの国では、インディアンとインディオの違いは翻訳に過ぎないとみなされているが、日本では、北米(アメリカ合衆国、カナダ)の諸民族をインディアン、中南米の諸民族をインディオと呼び分けることが多い。
インディアン (Indian) は、アメリカ先住民の大半を占める主要グループの一般的な呼称。スペイン語・ポルトガル語ではインディオ (Indio)。多くの国では、インディアンとインディオの違いは翻訳に過ぎないとみなされているが、日本では、北米(アメリカ合衆国、カナダ)の諸民族をインディアン、中南米の諸民族をインディオと呼び分けることが多い。
英語のインディアンは直訳するとインド人の意味である。歴史的な文脈では、旧イギリス領インド全域や東南アジアの住民を含むこともある。
「インディアン」が二義的な意味を持つ由来には、クリストファー・コロンブスがカリブ諸島に到達した時に、インド周辺の島々であると誤認し、先住民をインディオス(インド人の意)と呼んだことがあり、以降アメリカ先住民(の大半)をインディアンと呼ぶようになった。
ただし当時の西洋では、現在および当時のインドと同一ではない、中国・日本以外の東方世界を漠然と「インディアス」と呼んでいて、コロンブスは当時の一般的な知識にしたがって、カリブ諸島を「インディアス」と呼んだ
ほかインド人をイースト・インディアン (East Indian) 、アメリカ先住民をアメリカン・インディアン (American Indian) として区分する場合もある。
おもに平原部族が正装の際に顔や上半身を赤く塗装したことから、また、ネグロイドとコーカソイドの中間の、褐色の肌色を持つことからレッド・マン(Red Man)という呼称もあり、彼ら自身も使用しているが、コロンブスがタイノ族を同じ理由でこう呼んだことによる。 公民権運動やブラック・パワー運動の影響でインディアン達もレッド・パワー運動を展開した1960年代以降、侮蔑的な呼称として問題化されることがあり、イギリスでもレッド・インディアン (Red Indian) と呼ぶことがあるが、この語は差別的とみなされることが多い。
また「インジャン」という呼び方は現代アメリカにおいては「ニガー」などと同様の差別的な蔑称であり、ほか、「アンクル・トマホーク(Uncle Tomahawk)」、「トント」などは、現在では同じく「白人におもねるインディアン」の代名詞となっている。
人類学・言語学では、アメリンド (Amerind) と呼ぶこともある。ただしこの語は厳密には、アメリカ・インディアンのうち、起源が異なるという説があるナ・デネ(ナヴァホなど)を除いたグループに対する呼称である。
他にファースト・ネーションズ (First Nations)、ファースト・ピープルズ (First Peoples)、インディジェナス・ピープルズ・オブ・アメリカ (Indigenous Peoples of America)、アボリジナル・ピープルズ (Aboriginal Peoples)、アボリジナル・アメリカンズ (Aboriginal Americans)、アメリンディアンズ (Amerindians)、ネイティブ・カナディアンズ (Native Canadians) などの呼称があるが、これらの中には定義が不明確なものも多い。近年メディアにおいて最も使用されるのは ネイティブ・アメリカンズ (Native Americans) である。
カナダでは、イヌイットとメティス(先住民とヨーロッパ人両方の血を引く人々とその子孫)を除く先住民の総称としてファースト・ネーションズという呼称が一般的であり、ハイダ、クリー等個々の部族を指すときは部族名の後に「ファースト・ネーション」をつける(例:ハイダ・ファースト・ネーション)。メティの人々の総称はメティ・ネーションである。また、会話中ではネイティブ・カナディアン(Native Canadian)という呼称が使われることもある。
近年「インディアン」という呼称を「ネイティブ・アメリカン」(Native American)と呼び替える動きが進んでいるが、この単語は本来、アメリカ合衆国内の先住民全般、つまり「インディアン」、「サモア人」、「ミクロネシア人」、「アレウト」、「ハワイ人」、「エスキモー」全てを表す「総称」であり、固有の民族名ではない。
インディアン管理局(BIA)によれば“ネイティブ・アメリカン”という語は、1960年代にBIAが、そのサービス対象グループに対して使用し始めたものである。当初はインディアンとアラスカ先住民(アラスカ・インディアン、エスキモー、アレウト)を指してており、のちに連邦の枠組みに入るハワイ先住民と太平洋諸島民などを含むようになった。しかしインディアン・グループから苦情が出て、インディアン運動家たちは“アメリカ・インディアン”を主張するものもある。
「ネイティブ・アメリカン」という呼称は、BIAの意向を受けて「インド人(Indian)」を祖先に持つ「インド系アメリカ人(Indian American)」と区別するために、人類学者が作った造語である。一方、歴史的呼称としての「インディアン」に誇りをもつインディアン達はこれをあくまで自称とし、またその名称を替えること自体が差別的であるとしている。
この問題にはそもそも「アメリカ」という地名そのものが後付けであり、白人が過去の不正行為から目を背けて「インディアン」という言葉を削除し、「先住民」という中立的または大雑把なくくりの中に埋没させ、問題を隠ぺいしようとしているとする見解もある。(→アメリカ州の先住民族の呼称論争)
ラコタ・スー族の活動家、ラッセル・ミーンズ(Russell Means)は、「アメリカインディアンへの承諾なしに連邦政府がこの“ネイティブ・アメリカン”という用語を使用している」として批判しており、「I Am An American Indian, Not a Native American!(私は“アメリカ・インディアン”だ。“ネイティブ・アメリカン”ではない!)」とし、さらに「 I abhor the term 'Native American'.(私は“ネイティブ・アメリカン”という用語を憎悪している)」とし[10]、「“ネイティブ・アメリカン”」とは「合衆国すべての囚人としての先住民について説明するのに使用される、一般的な政府用語」であり、また「私は“アメリカ・インディアン”という名称の起源を知っているので、 この用語のほうを好みます。“アメリカ・インディアン”は“アメリカ合衆国の民族”以前からいる、唯一の民族グループなのです。」とし、「最終的に、私はだれであるかを、どんな政府にも定義させるつもりはありません。 加えて、西半球で生まれる人はだれでも“インディアン”なのです。」と述べている。さらにミーンズはこの「アメリカインディアン→ネイティブアメリカン」への言い換えが白人主体で進められている現状について、「我々がアメリカインディアンの歴史を教えようとしても、白人達が教育現場で我々の子供達に、“アメリカインディアンは20世紀中に絶滅してもう存在していない”と教え込んでいる。」と批判している。
1977年にスイス・ジュネーブの国連議場で、ラッセル・ミーンズら「インディアン国際会議」は、満場一致で「“インディアン”という用語を支持する」と決議し、「我々は“アメリカ・インディアン”の名の下に奴隷にされ、“アメリカ・インディアン”の名の下に植民地化された。そして我々は、“アメリカ・インディアン”の名の下に自由を得るつもりである。また我々は自分達をどうとでも呼べるのである。」というコメントを発表している。
「アメリカン・ヘリテージ英語辞典第4版」には、「“ネイティブ・アメリカン”の承認は、“インディアン”の消滅をもたらさなかった。一度“ブラック”が好まれるようになると、あっという間に“ニグロ”が嫌われたのとは異なり、“インディアン”はアメリカ人の大多数で、決して嫌われることはなかった。」との記述が見られる。
またインディアン系オクラホマ州議会上院議員ランディ・バースは「“インディアン”は“インディアン”だ。“ネイティブ・アメリカン”という言葉は30年ほど前からにわかに使われ始めたが、これを喜ばないインディアンだっていっぱいいるし、インディアンの中心州のこのオクラホマにも、“アメリカ・インディアン”の名のつく施設はたくさんある」という。
ほとんどのアメリカ・インディアンは、「インディアン」、「アメリカ・インディアン」、「ネイティブ・アメリカン」という用語に不快感を持たず、いずれも同じ意味合いで使用している。1995年5月にアメリカ国勢調査局の調査では、49%が「インディアン」を支持し、37%が「ネイティブ・アメリカン」を支持、3.6%が「他の名前がいい」とし、5%は「無回答」という結果が出ている。インディアン部族の公式ホームページでは、これらの単語が混在しているものも多い。2004年にワシントンD.C.で開館した博物館の名前は、国立アメリカ・インディアン博物館となった。
一方、チェロキー族の作家であるクリスティーナ・ベリーは「アメリカ・インディアン」も「ネイティブ・アメリカン」も、両方とも、様々なインディアンの民族の違いをぼかすので使用を避け、各部族名を使うべきであると主張している。